弥生研究所

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【読書ノート】やってのける

内容の一部を紹介したいと思います。

やってのける~意志力を使わずに自分を動かす~

やってのける~意志力を使わずに自分を動かす~

上手く使い分けるのがコツ、目標と行動の6つのタイプ

本書の中で、著者は目標に対する捉え方と、アプローチの方法について、大別して6つのタイプを提示しています。

  • 抽象型:理由に着目する
  • 具体型:行動そのものに着目する
  • 証明型:成果を重視する
  • 習得型:能力を高めることを重視する
  • 獲得型:何かを得たり、達成したいと思う
  • 防御型:何かを失うことや、危険を回避したいと思う

一つ一つ説明する前に重要なことが一つあります。それは、それぞれのタイプには優劣はないということです。タイプには長所と短所が存在します。そして、ほとんどの人は、6つの全てのタイプを満遍なく持っているのではなく、いずれかのタイプに片寄っています。自分が偏っているタイプを知り、取り組もうとしている対象に、最適な目標を設定できれば、大きな推進力を得るというのが、今回の記事の趣旨になります。

抽象型

抽象型の思考は、行動の目的や理由に着目します。抽象型の思考のメリットは、行動を目的や理由と結びつけて考えるために、行動の意欲を高めることができることです。行動そのものに気が乗らなくても、その目的を考えることで、やる気を奮い立てることができます。会社に行きたくなくても会社に行くのは、抽象的な思考によって「生活するため」というごく単純な目的を意識するからです。

具体型

具体型の思考は、行動そのものの方法や動作、手順に着目します。具体型の思考のメリットは、難しい行動をこなすことができることです。前述の抽象型の思考は、モチベーションを向上させる効果がありますが、一方で、抽象型の思考だけだと、難しい行動に着手しづらくなります。これは、行動の目的や理由ばかりに思考がとらわれると、具体的な一歩目の行動に着目しなくなるからです。目標に向かって進捗するためには、具体的な行動が必要です。簡単な行動で達成できる目標ならば、具体的な行動を意識するまでもありませんが、目標の難易度が高いほど、問題や課題に直面しているときほど、具体的な行動を考える必要があります。

証明型

証明型の思考は、自分の能力を示すことに着目します。証明型の思考のメリットは、成果が明確なために、モチベーションやパフォーマンスが高まりやすいということです。証明型の思考は、自分の能力を示す目的が根底にあるので、学校の成績、会社での評価、スポーツの成績など、世の中の多くの目標が、実は証明型の思考による目標になります。しかし、デメリットもあります。目標の達成が難しくなると、モチベーションやパフォーマンスが著しく下がるのです。自分の能力を示せない難しい目標には価値を感じなくなるからです。

習得型

習得型の思考は、自分の今の能力を示すことではなく、自分の能力が向上することに着目します。習得型の思考のメリットは、逆境に対しても継続的にモチベーションを維持できることです。内的な動機が根本にあるので、証明型のような高いパフォーマンスを発揮することは難しいですが、逆にパフォーマンスが低調になることもありません。証明型は結果が全てなので、その過程を楽しむことはできませんが、習得型は行動や過程そのものに意義を見出し楽しむことができます。

獲得型

獲得型の思考は、今以上に何かを得ることや達成することに着目します。獲得型の思考のメリットは、賞賛などのポジティブなフィードバックや、付加価値によってモチベーションを高めることができることです。より良いもの、より多くのものを得るという、飴と鞭でいうところの飴を原動力とします。分かりやすく明確な目標という意味では、証明型とも似ています。何かを失うことよりも、何かを得ることに集中しているため、楽天的とも表現できます。望む結果を得ることに貪欲ですが、困難に直面し望んでいる結果を得る可能性が低くなると、きっぱりと諦める傾向があります。

防御型

防御型の思考は、今以上に何かを失うことや危険を回避することに着目します。防御型の思考のメリットは、批判などのネガティブなフィードバックや、危機意識、心配事、不安などによってモチベーションを高めることができることです。想定する危機からの回避という鞭が原動力となっているため、困難に直面しても簡単には諦めない傾向があります。悲観的、現実的とも表現できますが、それらの特質は、今の自分の立ち位置と能力を正確に把握する手助けになります。目標に対して、どのような計画や資源が必要で、その実行のために、自分に必要な能力、忍耐力、努力などを自覚することができます。

6つのタイプを自覚して、最適なアプローチをとる

本書の内容を参考に、いくつか例を挙げてみましょう。

簡単なことを達成したい場合:証明型、獲得型

証明型や獲得型の特徴は、強力なモチベーションアップを図ることができる反面、難しい問題や逆境に弱いということです。今の自分で十分に達成できそうなことや、スタートアップ、ラストスパートでは、証明型や獲得型が向いています。

意欲がわかない場合:抽象型、防御型

もっとも根本的なステップで躓いている場合は、まず、取り組んでいる対象や求めているものを明確にするのが良いです。抽象型は、理由や目的にフォーカスします。防御型は、このまま意欲がわかないとどういう悪いことが起きるかを想像させます。

難しいことをする場合:具体型、防御型、習得型

問題や課題に直面したとき、具体型の思考は必要不可欠です。具体的な行動に集中することで問題を解決することができます。情熱があるから行動するのではなく、行動するところに情熱が生まれるとも言います。結果が出にくいときは自分の能力向上に着目する習得型が向いています。

早く終わらせたい:獲得型

簡単だけど、先延ばしにしてしまうようなことや、つまらないけどやらなければいけないことは、自分にご褒美という飴を用意する獲得型が向いています。的確なご褒美という目標を設定できれば、作業がはかどり思いのほか早く完了させることができます。

正確に行いたい場合:防御型

一方で、早く終わらせるのではなく、正確性を求められる場合、時間をあえて書けることが求められる場合は、鞭を用意する防御型が向いています。失敗することによってどんな悪い結果を被るかを若干大げさに想像すれば、いささか慎重にもなるというものです。

自分のタイプを知ろう

本書では、自分のタイプを知るための簡単なテストがあります。私は、抽象型、習得型、防御型でした。前述した通り、このタイプの偏りには優劣はありません。重要なのは、タイプごとに長所や短所があり、タイプごとに最適な目標やアプローチの仕方があるということです。自分の得意なタイプで目標を設定し、行動することが重要ですが、時には、自分が不得意とするタイプで物事を見ることも、目標への進捗に必要なことだと思います。