弥生研究所

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【レビュー】Space Haven

Space Haven(スペースヘイブン)が、5/22に発売されて、10時間ほどプレイしてみましたので、良いところ、悪いところを振り返ってみたいと思います。

まず、Space Haven がどのようなゲームなのかという定義についてですが、Steam のジャンル分けによれば、シミュレーションであり、ストラテジーであるようです。確かにその二つの要素は間違いなくあります。また、Steam では類似品として、RimWorld 等が挙げられています。私は RimWorld をプレイしたことがないので、残念ながら比較はできませんが、私の経験の範囲ですと、Dwarf Fortress の系譜を引いた Gnomoria などと似たゲームになります。Gnomoria は完全なファンタジーテイストですが、Space Haven は完全な SF テイストです。


Space Haven Early Access Trailer

store.steampowered.com

第一印象

Space Haven は Kickstarter で開発が始まり、今回の Steam 発売は、一応正式リリースではなく、早期アクセス版になります。私は、比較的最近になって急速に Space Haven に注目するようになり期待していたのですが、早期アクセス版とは言え期待通りの面白さでした。

まだ10時間程度のプレイなので、ゲームの全てをプレイできるているわけではありませんが、現時点で分かったことについて、良い点や悪い点をまとめました。

良い点

シミュレーションとストラテジーの程よい融合

Space Haven の最も特徴的な要素だと私が思ったのは、自動操作だけではなく、手動操作もあるということです。前述したように、ジャンルがシミュレーションとストラテジーに分類されているのは、自動操作としてのシミュレーションの面と、手動操作としてのストラテジーの面があることを表現していると思います。

ゲームのほとんどは自動操作で行われますが、探索や戦闘などは手動操作で行います。廃棄船を探索すると闇の中に蠢くエイリアンと戦うことになったり、海賊に対してこちらから白兵戦を仕掛けたりすることができます。例えば、Gnormoia ではリスクの高い戦闘なども自動で処理されるので、戦闘自体にストレスが大きくありました。その点 Space Haven では、自動操作と手動操作を使い分けることによって問題をうまく乗り切ったなという印象です。

手動操作による探索と戦闘は、自動操作によるシミュレーションに対して、適度に緊張感を与えてくれるもので、非常に素晴らしいと思いました。

日本語翻訳の質が良い

プレイするにあたって全く支障はありません。当たり前のように多言語対応しているのは、本当に素晴らしいと思います。翻訳の質も十分で、機械的な翻訳はほぼないと思いますし、中華フォントもありません。

グラフィックや音楽は地味

Space Haven はシミュレーションなので、グラフィックの良さをもって、ゲームを面白くするものではありません。グラフィックはいわゆるドット絵で、ゲームとして味わい深さが増しているのと同時に、SF 的なフラットな UI ともマッチしています。ただ、細部は若干雑な面も目につきました。あまりまじまじと見ないであろう小惑星は、私には牡丹餅が浮いているように見える……。雰囲気のあるドット絵という方向性は完璧ですが、もう少し細部まで雰囲気が出ることに今後期待します。

悪い点

UI はまだ改良の余地があるかもしれない

UI については、この手のゲームにしてはよくできている方かなとは思います。Space Haven は、キャラクターなどを手動操作することができるのですが、自動の時は操作の主体が左クリックなのに対し、手動の時は、右クリックが主体になるので、微妙に戸惑います。UI は慣れの影響も大きいので、あまりラジカルに修正するのも問題ですが、いまの UI 自体が問題だらけというわけではないので、いまの UI をベースに少しづつ改善が入ることを期待しています。

技術研究などの要素は無い

技術研究のような要素が必ずしもゲームに必要ではないのですが、技術研究的な要素がゲームレベルデザインの機能を担っている場合があります。Space Haven ではすべての施設や機能が最初から使うことができる一方で、チュートリアルはあるものの、レベルデザインの概念は希薄です。そのため、初見でプレイすると、立てる施設の順番や重要度を理解していないために、資源が枯渇して詰むことがあります。厳密にいえば、交易などで完全に積むことは少ないのかもしれませんが、結局は何度かニューゲームを繰り返すことになると思います。これは、ゲーム内に明確なレベルデザインが無いため、プレーヤーがゲームの構造を理解するために歩み寄る必要があることを意味しています。また、全ての機能がプレーヤーに最初から露出してしまうため、ゲームとしての奥行きが無くなってしまうのも勿体ないところです。

まとめ

早期アクセスゲームは、まだ開発中であることを意味しています。早期アクセス版の売り上げが、今後の開発の進捗に大きく影響するのは言うまでもありません。現状の Space Haven は今後も継続的に開発されるべき、良い作品だと思いました。今後の開発に期待すとともに、開発がとん挫しないことを祈って、感想を書いてみました。もし興味を持たれた方はぜひ、ご購入を検討してみてください。

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