弥生研究所

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【レビュー】アサシンクリード オデッセイ

最近ずっと、アサシンクリードオデッセイを遊んでいた。

私がアサシンクリードシリーズを遊ぶのは初めてであったが、このシリーズはオデッセイで既に11作目であるようである。シリーズ初体験ではあるが、各動画コンテンツでアサシンクリードがどういうゲームかは知っていた。初作であるアサシンクリードの動画を見たときは、ずいぶんスタイリッシュなゲームだと思ったものだ。アサシンブレードという、手首に装着した刃物を使いこなし、掌底打ちをするような動作で実は致命傷を与えている、その見栄えの良さに洗練さを感じた人も多いのではなかろうか。

私としては、むしろ興味のあるゲームで、機会があれば遊びたいと常々思っていた。ただ、昨日の今日までついにシリーズ未プレイとなってしまっていたのは、2008年を皮切りに、2020年には12作目である最新作のヴァルハラが発売予定とある通り、とにかくリリースが早いからである。1年に1作品はリリースされているのである。作品にはそれぞれ良し悪しがあると聞くし、ナンバリングされていないタイトルもあって、一見でどれが最新かも分からない。要は、いまのタイミングでどれをプレイすべきか良く分からないのが、現状のアサシンクリードシリーズであった。

オデッセイは、2018年に発売された11作品目である。私がオデッセイをプレイするに至った理由は、現時点での最新作だというのも一つにあるが、最も影響を受けたのは、「オデッセイ」が「ウィッチャー」に似ているという評価をチラチラと目にし耳にしたからである。ほう、ウィッチャーと比較するほどか。私にとって、「ウィッチャー3 ワイルドハント」は、ここ10年くらいの記憶で、最も衝撃的で面白く没入したゲームであった。そのウィッチャーと比較されるオデッセイが、どれほどのものか確認したくなったのである。

前述の通り、最近はずっと、アサシンクリードオデッセイを遊んでいた。

この時点で、オデッセイの実力は良い意味でお察しいただけるかと思う。プレイした数分の感想は、ウィッチャーに似ている、ということであった。オデッセイがウィッチャーに似ているというのは、ウィッチャーの経験者だったら誰しもが感じる、間違いのないものだと思われる。というよりも、オデッセイはウィッチャーの影響を強く受けている、という表現がより正確かもしれない。マップに大量のアイコンが表示される、あの感じはウィッチャーそのものである。

そもそも、アサシンクリードシリーズは元来、オープンワールドアクションRPGというゲームシステムではなかった。この方針を大きく転換したのが、2017年に発売されたメインシリーズ10作目のオリジンズからであった。ウィッチャー3の発売が2015年であるから、ウィッチャー3がアサシンクリードシリーズを大きく方向転換させた可能性は大いにある。もしかしたら、インタビュー記事などを漁れば、言及されている記事があるかもしれない(私は探していない)。改めて、ウィッチャー3が成し遂げたことの凄さを感じざるを得ない。ウィッチャー3は、ゲームとしてのフレームワークになりつつあるといっても過言ではない。

一方で、オデッセイがウィッチャーのただの焼き増しかというとそうではない。端的にウィッチャーとオデッセイを比べると、ウィッチャーは世界観、キャラクター、物語においてオデッセイよりも優れていて、オデッセイはアクション性やゲームシステム面においてウィッチャーよりも優れている。これには、ウィッチャーとオデッセイが主体とすべきものの違いがある。ウィッチャーは小説がまず原作としてあり、世界とキャラクターが紡ぎだす物語が主体としてあった。ウィッチャーにとってゲームシステムは、ウィッチャーをゲームという媒体で表現するための補佐的な位置付けとして見ることができる。一方、オデッセイは、ストーリーやキャラクター、世界観以前の要素として、アサシンクリードというゲームシステムが主体としてあった。

オデッセイのキャラクターは魅力にあふれていて、ストーリーには没入感がある、という評価があるとしても、私はそれを全く否定はしない。むしろ、その通りだと思う。ただし、ウィッチャーの世界観やキャラクターは、それ以上に優れていたというだけである。その代わり、アクション性を含めたゲームシステム面においては、明らかにオデッセイはウィッチャーよりも進化している。ウィッチャーのアクション面は、よく言えばシンプル、悪く言えば単調な印象があるかもしれない。ウィッチャーの主人公は怪物退治の請負人であり、怪物を退治するには事前に入念な準備をするという設定を、忠実に再現したからにほかならない。それに比べて、オデッセイでは、ハンター、ウォリアー、アサシンという3つのスタイルをうまく使い分ける必要があって、それがアクション面のバラエティに直結している。パルクールの心地よさも素晴らしい。海事、征服戦争、傭兵、コスモスの門徒などコンテンツも豊富である。

ウィッチャーにやりこみ要素はほとんどないが、オデッセイにはある。例えば、武器のレベリングのシステムはウィッチャーと同じだが、アップグレードすることで陳腐化を防ぐことができるのは、やりこみ面で評価できる。ウィッチャーは一過性のゲーム体験に重きを置いているのに対して、オデッセイは永続的なゲーム体験に重きを置いている節がある。どちらが優れているというわけではなく、方向性の違いである。どちらもゲームとして誠実なつくりになっているのは間違いない。

さてと。アサシンクリードオデッセイのレビューをしてるのだか、ウィッチャー3のレビューをしてるのだか分からなくなってきたので、まとめよう。

アサシンクリードオデッセイは面白い。

以上、巷をにぎわせているゴーストオブツシマそっちのけのレビューでした。(次は、サイバーパンク2077かな……)