弥生研究所

人は誰しもが生きることの専門家である

行動できない人は手順書を作ろう

行動力のある人がうらやましい。

行動力がある。実行力がある。フットワークが軽い。そんなキーワードに、私は長らくあこがれてきました。ところで、私は自他ともに認めるインドア派です。今でこそ、ロードバイクという趣味を持つ私は、ロードバイクなら遠出をするものの、ともすると家に引きこもりがちなのは、若いころから変わりません。このあたりは性格や気質によるものと思っていて、引きこもることと、行動力が低いことは全く関係がありません。

行動できないのはなぜか、ということを、私は長年考えてきました。

行動力を発揮できない原因

行動力を発揮できるかどうかは、精神論ではありません。 行動力の低さには、いくつかのレベルに分けて原因があります。

  1. 目的が明確でない(自分が何を求めているのか正確に把握できていない)
  2. 目標が明確でない(何を達成したら自分の目的が満たされるかを正確に把握できていない)
  3. 手順が明確でない(目標を達成するまでの道筋を正確に把握できていない)

この記事では、レベル3「手順が明確でない」について、掘り下げていきます。

手順が明確でないから行動できない

レベル3「手順が明確でない」状態において、そもそも行動できないのは、何を行動していいか分かっていないからです。そんな馬鹿なと思われるかもしれません。でも、実際のところ、人間が頭の中で想像しているものは、とても抽象的で、実際に行動に移すためには、具体性に欠けている場合が多いのです。私はブログに記事を投稿することを一つの目標としていますが、記事をなかなか投稿できないのは、記事を書くプロセスを明確にできていないからです。

本当に、行動すべきことが明確なのに行動できない、と言う人もいるかもしれません。そこまできているのであれば、あとはやるのか、やらないのかという、自分の意志の問題です。意識して行動しましょう。しかし、この意識はとても大きな力です。意識して行動するのはとても労力が必要なので、多くの行動は無意識の力によって成り立っています。私は筋トレを一つの目標にしていますが、筋トレをなかなかしないのは、意識の力に頼っていて無意識の力による行動、つまり習慣になっていないからです。

ただし、注意点がひとつあります。行動すべきことが明確なのに行動できない、という状態は、目標が明確でない、あるいは目的が明確でない可能性があります。目的や目標を整理した結果、行動すべきと思っていた行動が、目標や目的に繋がっていないことがあります。人間の心理や思考は不思議なもので、その行動が、目標、目的に結実していないと、無意識にブレーキがかかります。そのブレーキは完全に無意識のものなので、自分自身でブレーキをかけていることに気付きませんし、そのブレーキがかかる理由を説明することも難しいのです。

手順書が行動力に与えるメリット

メリットは二つあります。

  1. 手順書として自分の頭の中のものを外に出すことにより、取るべき行動が明確になります。
  2. 手順書通りに行動することで、意識の力だけでなく、無意識の力も加わって、行動しやすくなります。

手順書の作り方

まず、手順書(マニュアル、説明書)を作りましょう。最初から完璧なものを作ろうとすると、前に進めなくなるので、今の自分に書ける範囲で書きます。重要なのは、いちどその手順書通りに行動してみることと、行動してみた結果を反映して、手順書を改善することです。手順書通りに行動しようとしたけど、そもそも手順書通りに行動できなかったよ、という場合もあるかもしれません。それも手順書を実行した立派な結果です。何故行動できなかったかを分析して、手順書を改善しましょう。

私が、手順書やマニュアルに関して思い出すことは、学生時代の実験レポートです。私は、理系の学生だったので、実験レポートの書き方に関してはみっちり叩き込まれました。これは学術論文の構成にも当てはまり、何百年も前から洗練されてきた、ひとつの形式と言ってよいでしょう。 実験レポートはおおよそ、以下の構成になります。

  1. 目的
  2. 実験手順
  3. 実験結果
  4. 考察
  5. 結論

この中でも最も重要なのが考察です。学校の実験だと、目的、実験手順、実験結果までは教科書通りだったりしますしね。考察は、実験が仮説通りの結果を得たかどうかにかかわらず、なぜそのような結果になったのかを突き詰める過程です。その突き詰め方だけは千差万別です。

まとめ

手順書は実際に実行して、フィードバックすることが重要です。実行とフィードバックを繰り返すうちに、その手順書はあなただけのものになります。あなたが作る手順書は、あなただけに効果のあるものです。手順書が不必要になった時、それは行動が習慣になったことを意味します。

行動力のある人が、たくさん行動しているように見えるのは、行動に力を使っていないからなのです。かといって、何も考えずに行動しているわけではなく、自分の目的、目標に繋がる適切な行動を、無意識の力、習慣の力を使って行動できるよう工夫しているのです。