弥生研究所

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芋焼酎と麦焼酎の梅酒を味見してみた

梅酒の季節です。 毎年、ゴールデンウィークが過ぎて、梅雨入りを意識しだす頃に、スーパーではホワイトリカーや氷砂糖、保存用の瓶が置かれるようになります。

今年は、スタンダードにホワイトリカーで漬ける予定ですが、まずは、昨年漬けた梅酒の味見をしてみましょう。昨年漬けた、芋焼酎麦焼酎の記事がこちらです。

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味見をするまえにポイントを押さえておきましょう。

一般的に、梅酒はホワイトリカーで漬けます。この理由は、ホワイトリカーに味や香りの下地がないために、梅酒として漬けたときに、梅の味と香りが引き立つからです。氷砂糖を使うのも甘味に癖がないからです。

一方で、梅酒はホワイトリカーで漬けなければならないという理由はありません。アルコール度数が、ある程度高ければ、容易に梅酒として漬けることができます。ホワイトリカー以外のお酒で漬けた場合は、ベースとなったお酒の風味が梅酒に加味されることになります。氷砂糖ではなく、はちみつや黒砂糖を利用する例もありますが、観点はベースのお酒を変えるのと同じです。

なお、ホワイトリカーのアルコール度数は35度で、アルコール度数が低いほど発酵や腐敗のリスクが高くなります。アルコール度数が20度未満の場合は、法律に触れるので、どんなお酒でもベースとして使えるというわけではありません。

味見のポイント

さて、味見のポイントは以下の通りです。

ホワイトリカーの場合は、以下の2点がポイントになります。

  • 梅の味と香りが引き立っているか?
  • 甘さは適切か?

ホワイトリカー以外で漬ける場合は、上記のポイントに加えて、さらに以下の2点がポイントになります。

  • ベースとなったお酒の味と香りが残っているか?
  • ベースのお酒と梅は相乗効果を生んでいるか?

梅酒というのはホワイトリカーで漬けても十分おいしく出来上がります。それを、あえて違うお酒をベースに漬けるというのであれば、何かしらの相乗効果がなければ意味がありません。

いざ、味見

ごくりと一口飲んでみた、ひとこと目としては「微妙」です。梅酒としては普通においしいのですが、普通においしい止まりです。麦も芋も香りは残っています。梅の味も香りもよく出ています。麦よりも芋のほうが癖が強いせいか、芋のほうが香りは強く残っています。しかし、ホワイトリカーで漬けた梅酒を上回る何かがあるかというと、特に印象が残らないというのが、感想としての結論でした。

これは、ベースとしたお酒の特長にもよると思います。むしろ、ベースとなるお酒の特徴を知らないままに、闇雲に漬けても、奇蹟の相乗効果など生まれるわけもないなと、思いました。ただ、普通の梅酒とは風味が異なるという点で、面白みはあるかなと思いました。

梅1kgに対して、ホワイトリカー1.8Lという鉄板のレシピは、昔から使い古された、いわば枯れた技術です。それを覆すほどのレシピなど、そうそうあるわけではありません。一年間漬けた結果としてはなんとも残念ですが、ホワイトリカーで漬ける梅酒でも十分おいしいということが分かりました。

もちろん、今回味見した芋焼酎麦焼酎による梅酒がマズいというわけではありません。むしろ、美味しいです。ただ、ホワイトリカーで漬けた梅酒を、大きく引き離す味や香りの優位性は無いということになります。

味と香りに主体を持った梅を包み込むホワイトリカーは味と香りに主体を持ちません。梅とホワイトリカーの組み合わせは、お互いを補い合う相思相愛の名コンビなんです。もし、好きなお酒の銘柄があって、梅酒が好きなのであれば、そのお酒で梅を漬けてみる価値はあると思います。しかし、そういった強い思い入れが無い限りは、梅とホワイトリカーの仲の良さを上回ることはできないなと思いました。

でも、梅酒好きとしてはオリジナリティのある梅酒を模索したいところであり、梅酒づくりはまだまだ続きます。