弥生研究所

人は誰しもが生きることの専門家である

ゴッホ展に行ってきた

年末に、珍しく上野に足をのばして、ゴッホ展に行ってきました。普段、美術館はあまり行かないので、非常に良い刺激を受けることができました。日常では得られない感性の刺激を得られるのが、美術館の良いところです。

go-go-gogh.jp

ゴッホ展を選んだ理由は特にありませんでしたが、母がゴッホ好きということで、これまた珍しく母と一緒にゴッホ展に行ってきたというわけです。それに、美術に詳しくない私でもゴッホの作品はいくつか知っているくらい有名なので、美術知識のすくない初心者でも比較的とっつきやすいのではと思います。おりしも、ゴッホを主人公に置いた映画も公開されていました。私は見逃しましたが……。

gaga.ne.jp

当日は、ぼんやりした天気で、メリハリの効いたゴッホの絵とは対照的でした。

f:id:yayoi-tech:20191224181703j:plain

私はゴッホの絵、そのものが特別好きというわけではなく、ゴッホ人間性や人生に興味を大きくそそられるものがあります。いままで、ゴッホという人の名と、その人が残したものを知りながらも、その人自身の人となりや生き方について知ることはありませんでした。ゴッホ展は、ゴッホの絵画を飾るだけの場ではありません。絵画には解説が付けられ、それは時に彼自身や彼と親交のあった人物の手紙であったりします。それらを読むうちに、私は、絵画というモノからゴッホというヒトに、自然とフォーカスが移りました。

27歳で画家として生きる決意をする

意外にも、ゴッホが画家を目指したのは27歳という年齢になってからでした。とはいえ、それまでゴッホが絵画の世界から無縁だったかというとそうではありません。父は牧師でしたが、五人いる伯叔父のうち三人が画商であり、本人も画廊に務めた経験もあって、絵画が身近にある環境にありました。当初、ゴッホは聖職者を目指して、神学校を受験します。もともと、ゴッホの生家は牧師の家であり、特に祖父のフィンセントは牧師として高名で、フィンセント・ファン・ゴッホの名は祖父からとられたものでした。

ゴッホ自身には勤勉、勤労という印象はあまりありません。勤めていた画廊をクビになった経験もあります。当初目指していた大学の神学部への進学も、受験勉強を途中で放棄し、聖職者としての道に挫折します。そして、画家として生きる決意をしたのです。

晩年は精神を患う

ゴッホは若いころから扱いづらく、気難しい性格だったようです。幼少期には癲癇の持病があったとされていますが、その後、引き続いた発作の原因についてはいくつかの説があるようです。ただ、彼の性格が多くの人間関係で軋轢をおこしたことは事実で、彼自身の性格が彼の精神・肉体両面に負荷をかけたであろうことは推測できます。

ゴッホゴッホの性格であったからこそ、後に評価を受ける絵を生み出したとも言えます。彼が見る世界が、私たちが見る世界とはずれているほど、私たちにとっては魅力となります。特に、サン=レミの療養時代の絵は、常人には見られないような世界を見ていた、あるいは見ようとしていたかのような印象を率直に受けます。

37歳という若さで夭折

7月27日の日曜日の夕方、ゴッホはオーヴェルの旅館に傷を負って帰宅します。その傷は、銃創でした。手当を受けたものの、弟のテオに看取られながら、二日後の7月29日に亡くなりました。ゴッホは、オーヴェルの麦畑付近で銃による自殺を図ったというのが定説ですが、真相は定かではなく他殺という説もあります。

弟のテオは、生活資金を兄に仕送りするパトロンであり、ゴッホにとって最大の理解者でもありました。そのテオも、兄の死後まもなく、病気を発症し、翌年1月25日に亡くなります。兄の死のわずか半年後のことでした。

名前 生年 没年
フィンセント 1853年3月30日 1890年7月29日
テオドルス 1857年5月1日 1891年1月25日

生前は評価されなかったが……

ゴッホは、その生前に作品が世間から評価されることはありませんでした。ゴッホの作品の価格が急騰するのは1900年(つまり死後10年後)からです。このとき、もしゴッホが生きていれば47歳ですから、早死さえしなければ、生きている間に評価を得ることが十分にできたことでしょう。また、27歳から絵画の世界に入ったにもかかわらず、37歳に至るまでのたった10年の画業の中で、多くの作品がここまで評価されているという点は、ゴッホという人物を特異な存在にしています。

f:id:yayoi-tech:20191224181822j:plain
図録、装丁がまた良い

例によって、記念に図録だけを買い、久しぶりの上野で昼食をとって帰りました。こういう文化的な一日をときどき意図的に作ると、とても満足度が高いです。

東京展は1月13日まで、兵庫展は3月29日までとなります。お近くの方はぜひ足を運んでみてください。